糖尿病内科
糖尿病内科
糖尿病は、血液中の血糖値が慢性的に高い状態が続く病気で、長期的に高血糖状態が持続するといろいろな血管障害に基づく臓器障害が問題となる疾患です。大きく1型糖尿病と2型糖尿病に分類されており、日本人では約95%が生活習慣病の一つである2型糖尿病に該当します。
1型糖尿病は、自己免疫反応やウイルス感染により膵臓から産生される血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌が著しく減少する病気です。特に若年層に多く、治療には外部からインスリンを補充することが欠かせません。一方、2型糖尿病は、インスリンの効果が弱くなり(インスリン抵抗性が増加する)、生活習慣、特に過食や運動不足、肥満、ストレスなどが大きく影響します。中高年に多いですが、近年は若年層でも発症が増加しており、主に食事・運動療法や薬物治療が行われます。
2016年の国民健康・栄養調査では、「糖尿病が強く疑われる人」が約1,000万人、「糖尿病の可能性が否定できない人」も約1,000万人、つまり、糖尿病に関連する人は2000万人と日本人の6人に1人と推定され、とてもたくさんの糖尿病予備軍がいて、糖尿病は決して珍しい疾患ではないことが明らかになっています。
高血糖が持続すると、血管が障害され、様々な臓器に悪影響を与えます。特に微小血管が障害されることで、糖尿病三大合併症といわれる「糖尿病網膜症」、「糖尿病性腎症」、「糖尿病神経障害」が引き起こされます。また、大血管障害として動脈硬化が進行し、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患といった重篤な合併症をもたらすことになります。
高血糖だけでなく、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症といった他の生活習慣病も動脈硬化に深く関わっています。そのため、糖尿病の治療では、これらの要因を含めた総合的なアプローチが不可欠です。
日本人に多い2型糖尿病は、初期段階では自覚症状がほとんどありません。糖尿病を長期間放置して動脈硬化に伴う重大な合併症が生じてからだと治療が非常に難しくなります。そのため、定期的な健康診断で血糖値異常や糖尿病が指摘された場合には、まずはお気軽にご相談ください。放置せず適切な診療を受けることで、病気の進行を防ぎ、合併症のリスクを軽減できますので、糖尿病との付き合い方、治療の仕方について一緒に考えていきましょう。
糖尿病は膵臓がんの危険因子でもあり、特に糖尿病の悪化が見られた際には膵臓がんの可能性を疑うことが重要です。当院では、精密なエコー検査や膵臓がんの早期発見に不可欠な超音波内視鏡などを用いた膵臓精密検査により、膵臓がんのリスクを評価し、早期発見に努めています。急激に血糖値が悪化した際には特に注意が必要であり、迅速な対応を行います。
糖尿病治療において、適切な食事療法は欠かせません。当院では、管理栄養士が個別に栄養指導を行い、女性医師が患者のライフスタイルや状況に合わせた細やかなアドバイスを提供します。患者一人ひとりに寄り添った、生活習慣病診療が可能です。
当院には薬剤師免許を持つ医師が在籍しており、糖尿病治療薬の選定においても、患者様の状態に最適な薬剤を提案します。薬物療法の重要な役割を踏まえ、効果的で安全な治療をサポートします。
当院には上記のような強みがありますので、まずは、健診で血糖高値、尿糖陽性など指摘されましたら、まずは当院へ御相談ください。健康への一歩を踏み出しましょう。
(WEB予約ページの一般診察ボタンから簡単に予約できます)
・のどが渇き、水分を多く摂るようになった
・尿の回数や量が増えた
・最近、疲れやすい
・体重が減少してきた(膵臓癌などの悪性腫瘍が隠れている可能性もありえます)
・目が見えにくくなった(糖尿病網膜症の可能性がありえます)
・健診で血糖値が高め、尿糖陽性を指摘された
・最近体重が増えてきた、おなかがでてきた
・油っこいものや味の濃いものをよく食べる、夜食を食べることが多く不規則な食生活である
・家族や血縁者に糖尿病の人がいて自分も心配
糖尿病の症状やお悩み事は人によって様々ですが、初期は自覚症状が乏しく早期発見が難しい病気です。
そのため、上記のような気になる症状や疑問点がある方や、健康診断などで高血糖や尿糖を指摘された方はまずはお気軽にご相談ください。
血糖値は食事の前後や時間帯、活動状況などによって大きく変動し、採血した瞬間を反映したものとなるため、現在の血糖値の状況を把握する指標としては不十分です。そこで、安定した血糖値の状態を表す指標として、現在、広く使われているのがHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)です。過去1~2カ月の平均血糖値を反映し、糖尿病の合併症予防のための血糖コントロールの管理の指標として有効とされ、日常診療で糖尿病の診断基準や血糖コントロール目標の指標として使用されています。
(1)早朝空腹時の血糖値が126mg/dL以上
(2)75グラム経口ブドウ糖負荷試験で2時間後の血糖値が200mg/dL以上
(3)時間に関係なく測定した血糖値(随時血糖値)が200mg/dL以上
(4)HbA1cの値が6.5%以上
1度の検査で(1)〜(3)のうちの1つと(4)が同時に確認された場合、糖尿病と診断されます。
・院内迅速検査による血糖値、HbA1c、尿たんぱく検査(当日結果説明いたします)
・頸動脈、下肢動脈血管エコー検査による動脈硬化の評価・モニターリング
・腹部エコー検査による膵臓、肝臓精密検査(悪性腫瘍の除外)
・基準値(日本人間ドック学会):5.5%以下
・血糖コントロールの標準的な目標値:6.0%以下
・糖尿病による合併症予防のための目標値:7.0%以下
・治療強化が困難なときの目標値(高齢者や低血糖発作を繰り返す場合):8.0%以下
月1回程度定期通院していただき、患者様一人ひとりの病状にあった治療法を相談しながら、一緒に決定してまいります。
血管は血液を全身に循環させる重要な働きを持っていますが、糖尿病になると血糖値が高い状態が続き、その血管を傷つけたり、血液をドロドロにしたりして様々な負担を血管に与えます。とくに細い血管(毛細血管)は影響を受けやすく、毛細血管が集中する網膜、腎臓、手足に早いうちから障害が現れてきます。これが三大合併症(細小血管障害)といわれる「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」です。
また、高血糖の状態は毛細血管だけではなく、太い血管にも影響を与え、大血管障害と呼ばれる脳梗塞や心筋梗塞、閉塞性下肢動脈閉塞症など、命にかかわる重大な病気を引き起こすこともあります。
これらの合併症は糖尿病と診断されたときから進行し、5~10年くらいで出現すると考えられています。
高血糖の状態を放置しておくと、失明、透析、手足の壊疽(えそ)などを引き起こす可能性もありますので、きちんと治療を受け、合併症を予防していくことが重要です。
初期から自覚症状なく進行します。網膜の毛細血管が傷つき視力低下や出血を起こし、最終的に失明に至ることもあります。糖尿病網膜症は日本人の失明原因の第2位です。糖尿病と診断されたら、自覚症状がなくても定期的に「眼底検査」を受け、良好な血糖コントロールを継続的に行っていくことが大切です。
腎臓には糸球体という毛細血管のかたまりがあり、血液をろ過しています。高血糖の状態になると、この糸球体が傷つきやすくなり、放置することで徐々に腎臓が傷つけられ、尿と一緒にたんぱく質も出てきます。最終的には腎不全となり、人工透析が必要な状態に至ってしまいます。日本の人工透析の原因は、糖尿病腎症が最も多く、現在も増加し続けています。継続的な血糖コントロールと定期的な尿検査を行っていくことが大切です。
糖尿病は末梢神経にもダメージを与えます。症状としては、手足がしびれたり、悪化すると痛みの感覚が鈍くなったりします(けがや火傷の痛みに気づかないなど)。とくに足は症状が悪化するとわずかな傷に気づかずに感染が悪化してしまい壊疽に至りやすく、場合によっては足の切断を余儀なくされる場合もあります。足を清潔にするフットケアが重要となります。
脳梗塞、心筋梗塞、脳卒中、皮膚病、感染症、閉塞性動脈硬化症、歯周病なども合併症として挙げられます。
1型糖尿病ではインスリンの必要量が不足しているため、インスリン注射によって補う治療が中心となります。2型糖尿病では合併症の発症・進行を予防するための血糖コントロールが基本となり、食事療法、運動療法、薬物療法の三つが柱となります。
糖尿病において食事療法は治療の根幹となります。炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素をバランスよく摂ることや、ビタミン、ミネラルなどを欠かさず摂取することが大切です。具体的には「糖尿病食事療法のための食品交換表」(日本糖尿病学会)という表を利用し栄養バランスの良い食事を摂ります。2型糖尿病の場合、厳格に食事療法を行えばそれだけで血糖コントロールができる可能性があります。当院では管理栄養士によるキメ細かい明日から使える実践的な栄養指導を提供し、一緒に考えていきたいと思いますので、まずお気軽にご相談ください。
運動で体内に余分に溜まったエネルギーを消費することで血糖値が下がります。また、筋肉がつくことでインスリン感受性が高まり、筋肉での血糖値の消費量が増え、血糖コントロールがしやすくなります。運動療法としてはウォーキングや自転車、スイミング、ジョギングなどの有酸素運動を1回30分、週に3回程度することが望ましいと言われていますが、当院では日常生活の中に組み込むことができる運動療法を提案しております。まずはお気軽にご相談ください。
2〜3ヵ月ほど食事療法と運動療法を続けても、血糖のコントロールが上手くできない場合には薬物療法を検討します。経口血糖降下薬を用いる内服療法と、インスリンなどを注射で補充する自己注射療法の二つがあります。近年、糖尿病治療薬は大きく進歩しており、DPP‐4阻害薬、SGLT2阻害薬、GLP‐1受容体作動薬などが登場しています。これらの薬は治療過程で生じることがある低血糖を起こしにくく、体重を減らす作用を持つものもあります。どの薬物をいつから開始するかは、患者さんの糖尿病のタイプや合併症の進行程度などによって、一人ひとりにあった治療法について糖尿病を専門とする医師が一緒に考えます。まずはお気軽にご相談ください。
糖尿病の治療には患者さんの自己管理がとても大切です。当院では糖尿病を専門とする医師および管理栄養士、看護師がチームとなって糖尿病の療養指導を行い、患者さんが適切な自己管理が行えるように援助します。
・糖尿病について(病気と検査内容の説明など)
・糖尿病の治療について(食事療法、運動療法、薬の飲み方など)
・インスリン自己注射を始められる方への説明
・血糖自己測定法について
・低血糖/シックデイ/フットケアなどの注意すべき対処法について
・糖尿病と口の中の健康について
・日常生活の注意点と相談
など
WEB問診票による健診結果、現在の糖尿病治療状況、内服歴、既往歴、受診理由などを事前に記載いただきます。当院にて事前に情報を整理し、患者様の状態に合ったより効果的な問診や検査がスムーズにできるよう事前準備をしたうえで当日の診察を行うことで、待ち時間の短縮や診断・治療の精度向上につながるよう対応しております。ぜひ、事前にWEB問診の記載に御協力ください。
糖尿病の患者さんに関しましては、初回に必要と思われる検査(尿検査・血糖値・HbA1c、脂質異常(中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロール)・肝機能・腎機能・身長・体重など)を実施していきます。さらに、必要に応じて併発する脂肪肝や悪性腫瘍の有無の評価のため腹部エコー検査をしたり、動脈硬化の評価のため頸動脈エコー検査等を行います。
検査結果をもとに診察いたします。
・血糖値の自己管理の方法
・食事療法 ・運動療法→管理栄養士による明日から使える実践的な栄養指導等を提供いたします
・お薬の詳しい説明→薬剤師免許をもった医師による適切な薬剤説明を提供いたします
当院での治療方法のポイントをわかりやすくご説明いたします。
まずは月1回ほどの頻度で通院していただき、血液検査、尿検査で糖尿病のコントロールを確認して行きます。一人ひとりに寄り添いながら、生活習慣の改善について、治療薬の調整について一緒に考えていきます。
当院では、糖尿病を含めた生活習慣病の予防から治療、合併症の検査まで、一元的に管理できる体制を整えています。医師、管理栄養士、看護師、スタッフ一同、皆様の健康を支えるライフパートナーとしてサポートしますので、何か気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。